2018年1月4日、僕ら兄弟の「おとん」こと、父・中島典人が89歳で旅立ちました。母はすでに亡くなっており、僕ら兄弟は両親が住んでいた大倉山のマンションを片付け始めました。ある日、父が書斎のように使っていた部屋を片付けていると、重い座卓の下から大量の絵が見つかりました。「なんやこれは！おとんが描いたんか！」

これまで廊下などにカラーコピーをした絵が小さい額に収まって飾られているのは見たことがありました。でも、本物を見たのは初めてです。息子の僕がいうのも何ですが、どれもが素晴らしい。生まれ育った故郷八女の風景を題材にしたもの、その生活の用具を細かく描いたもの、仕事でよく訪れていた中国の風景を題材にしたものなど、見ていて本当に楽しく、父の優しさ、暖かさが伝わってきました。

これは是非たくさんの人に見ていただこうと思い、10年間「パッケージ幸福論」でお世話になっているここ「Gallery5610」に相談しました。ここは父の親友だった故・鹿目尚志先生とも深いご縁のあるギャラリーでもあります。

お彼岸です。ここに父への感謝、そして父のこの才能を見守っていたであろう母への感謝、さらに父がご縁をいただいた全ての皆様に感謝を込めまして、展覧会を開催いたします。（父が生きていたら恥ずかしがってきっと開催できなかったと思います。笑）この絵を通して父の人柄に少しでもせっしていただけたら、と思います。

中島信也